「お風呂でのぼせたのかな」。家族がそう思っている時間が、入浴中の事故では発見の遅れになります。

2012〜2013年度の厚生労働省研究班の推計では、入浴中に亡くなる人は年間およそ1万9000人です。

65歳以上の浴槽での溺死は、令和5年で6,541人にのぼります。

これは65歳以上の交通事故死(2,116人)のおよそ3倍です(どちらも令和5年・65歳以上。厚生労働省「人口動態統計」を消費者庁がまとめた数字)。

冬場(12〜2月)に多くなります。

高齢の親の冬のお風呂で、いちばん大事なのは、脱衣所と浴室を暖めておくことです。お金をかけずに今日からできる対策が、6つあります。設備より先にできるのが、家族の見守りです。

運営:ミライ人間洗濯機ガイド 編集部

この記事の順番

高齢者の入浴事故対策|入浴事故を防ぐ順番。1 なぜ事故が起きるか 2 今日からできる無料の対策 3 見守り 4 設備で下げる(イラスト)

この記事は、ご家族のお風呂を心配する方に向けて書いています。施設で入浴介助を担当している方には、デイサービスで入浴介助にあたってきた方への取材のほうが役に立ちます。

風呂場の事故は3つの原因で起きる

  • ヒートショック:暖かい部屋から寒い脱衣所へ、そして熱い湯へ。急激な温度差で血圧が乱高下し、失神・不整脈・心筋梗塞・脳卒中につながります。冬に増えます。
  • 溺水:湯船で意識を失うと、そのまま沈んでしまいます。
  • またぎ・転倒:濡れた床、浴槽をまたぐ動作でのバランス崩れ。骨折から寝たきり、打ちどころが悪ければ命に関わります。

無料の対策は6つ、最重要は暖めること

お金をかけずにできる対策は、次の6つです。1・2・4は、消費者庁の注意の呼びかけ(2020年11月19日)にも入っています。

高齢者 入浴事故|ヒートショック予防の6か条(赤穂市の動画)

▶ 3分9秒から、市の消防が勧める「予防6か条」(脱衣所を暖める・41度以下で10分・一声かける など)が見られます。
動画:赤穂市公式動画チャンネル-Channel AKO-(兵庫県赤穂市=自治体の公式)(YouTube)。押すと再生します

  1. 脱衣所と浴室を暖めておく(温度差をなくす。これが最重要)
  2. 湯温は41℃以下、つかるのは10分までを目安に
  3. 入浴前にかけ湯をして体を慣らす
  4. 飲酒後・食後すぐ・薬の直後の入浴を避ける
  5. 一番風呂を避ける(湯気で浴室が暖まってから入る)
  6. 入浴前後にコップ1杯の水分をとる

毎日そばにいられない。それでもできることはある?

人間洗濯機
編集部

できます。家族の「見守り」です。

まずは、家族の「一声」をルールにすることから始められます。

家族の見守りで発見の遅れを防ぐ

入浴中の事故でつらいのは、気づくのが遅れること。

本人は声も出せず、家族は「のぼせているのかな」と思っているうちに時間が過ぎていきます。

だからこそ、早く気づくための「見守り」が要ります。消費者庁も、入る前に同居の家族へ一声かけることを呼びかけています(2020年11月19日)。

高齢者の入浴事故対策|手すりとすべり止めのある浴室と、暖房のある脱衣所(イラスト)

① 家族の「一声」をルールにする

  • 入る前に「入るよ」、上がったら「上がったよ」。これを家庭の習慣にするだけで、異変に早く気づけます。
  • 入浴中、しばらく物音や気配がなかったら、ためらわず声をかける。返事がなければドアを開けて確認する。「迷ったら見る」を徹底してください。気を使って遠慮するその数分が、結果を大きく左右します。

② 日没前、家に誰かがいるときに入る

  • できれば日没前の明るい時間、そして家に誰かがいるときに入る。
  • 深夜のひとり入浴、家族が寝静まった後の入浴は、発見が遅れやすい入り方です。

③ ひとり暮らしは外から気づける仕組みを

  • 同居家族がいない場合は、入浴前後に家族へ一報を入れる、見守りサービスやセンサーを使う、近所と声をかけ合うなど、「気づける仕組み」を外から用意することが大切です。

またぐ・立つが難しければ設備で減らす

対策をしても、加齢で「またぐ」「立つ」「湯船で姿勢を保つ」こと自体が難しくなることがあります。

その場合は、設備で「またぐ」「立つ」動作の負担を減らします。

  • 手すりの設置・段差の解消
  • 浴室暖房乾燥機(脱衣所や浴室を暖める)

家の手すりの取り付けや段差の解消は、介護保険の住宅改修の対象です(厚生労働省)。

①要支援・要介護の認定を受けた方が対象です。工事費20万円までに、介護保険から7〜9割が出ます(自己負担は1〜3割)。

②工事の前に、市区町村への申請が要ります。まずケアマネジャーか市区町村の窓口で、対象になるかを確かめます。

③施設の入浴機器の補助金(介護テクノロジー導入支援事業)は別の制度です。介護施設で入浴介助をしている方は、またがずに入れるアシストバスと介護施設で使える補助金の記事へ。

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まとめ:まず暖めて、家族で見守る

  • 65歳以上の浴槽での溺死は、令和5年で6,541人。65歳以上の交通事故死の3倍
  • 原因はヒートショック・溺水・またぎ転倒。冬場に急増する
  • まずは無料の6つの対策。なかでも「脱衣所・浴室を暖める」が最重要
  • そして設備より先にできるのが「見守り」。一声・時間・気づける仕組みで、発見の遅れを防ぐ
  • 必要なら、手すり・段差の解消・浴室暖房で、またぐ・立つ動作の負担を減らす

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出典:

政府広報オンライン

/消費者庁(2020年11月19日)/消費者庁 コラムVol.12(令和5年の数字)/nippon.com。数値は厚生労働省 人口動態統計・消費者庁の分析に基づきます。

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※本記事は一般的な注意喚起であり、医療上の判断は医師等の専門家にご相談ください。